『いちばん安心できる「お金の授業」』を読みました。
タイトルから見た最初の第一印象は、お金の使い方、投資の仕方が書いてある本かと思ったのですが、まったく違いました。
お金の話というより、幸せになるための話というか、人生の話というか。人それぞれの人生に沿ったお金の話でした。哲学的かもしれません。
このまま「なんとなく不安」を抱えたまま、ばくぜんと人生を歩んで良いのか。
人生に迷った時に読みたい本です。
~もくじ~
『いちばん安心できる「お金の授業」』の主な内容
現役大学教授が本音で教えてくれる
『いちばん安心できる「お金の授業」』の著者は榊原正幸さん。現役大学教授で、会計学の専門家です。
本のサブタイトルは「現役大学教授が本音で教える」。
専門用語が少なく、わかりやすい言葉が多いので、すんなり入ってきます。
発売は2011年。ちょっと古い
この本が発売されたのは2011年。今は2017年なので、5年以上前に発売された本です。金の価格やどこの会社に投資をすればいいかの話など、ちょっと古く感じますが、考え方は参考になります。
構成は、序と四項目
内容は授業風に書かれていて、第一講の1限目・・・という風に分かれています。パラパラっとめくった感じだと少し読みにくいのかなという印象ですが、実際に読み始めてみるとわかりやすい言葉が使われているので、サクサクと読みやすいです。
序では、人生の方向性、成長志向、充実志向の人生とはどういうものかについて、本の構成について。
第一講では、成長志向の人生についての考え方。
第二講では、充実思考の人生についての考え方。
第三講がこの本のメイン。実際に活用できるお金の話で、投資の仕方などが書かれています。
第四講では、投資と消費のバランス、リタイヤなど考え方が多いです。
感想
人生の方向に迷った時はバランスを考える
タイトルを見るとお金の話が多いような印象ですが、人生論や考え方の方が多いです。
仕事をしてお金が定期的に入ってきても『なんとなく不安』『漠然とした不安』になることがありました。
そんなときは『自分はこのままでいいのか』『毎日をなんとなく暮らしていていいのか』と、仕事を辞めて自分探しの旅に出かけたくなります。
でも、自分探しの旅に行っても結論は見つからないことは多々。
旅行に行ってリフレッシュな気分になって、そのままナアナアで解決せずに終わるんですよ。そして、また不安が貯まってくるというくり返し。
これって結局、『芯』が無いからでしょうね。これだけは譲れないという『芯』のようなものが。
この本の、『経済基盤』という土台の上に、大きく分けて『成長志向の人生』と『充実志向の人生』がのっているというところが印象的でした。
『成長志向の人生』は、こういう仕事がしたい、なりたい自分になる、など自分自身の成長を思考する生き方。
『充実志向の人生』は、今ある自分の人生を見つめ直し、じつはけっこう幸せなんじゃないかと、実感し、それを守る生き方。
そして、目からうろこだったのはその『両取り案』。どちらが良くてどちらが悪いわけじゃなく、ありのままの自分に素直に従って、どちらにウェイトを置くかが大事という案。
わたしの今のウェイトは、7:3くらいかな。成長志向重視モード突入中!
人生の方向に迷ったときにはこのバランスを見直す、つまり自分がなにをしたいのかを見直すことで、人生の迷いが少し晴れるかなと思います。
人生の方向性によってお金の方向性が変わる
この成長と充実のバランス、つまり人生の方向性が決まらないと、お金の方向性も決まらないと著者は主張しています。
経済基盤は土台で成長志向、充実志向のどちらの人生にも必要です。
でも、「どちらの方向性かによって、お金の必要な量やどれくらいの期間で手に入れれば良いかが変わる」というのです。
成長志向なら、安全でしっかり稼げることが投資の絶対条件。
充実志向なら、自分の最低限の生活を守るためのお金の確保が絶対条件。
そんなイメージでしょうか。
たしかに、成長志向でなにか新しいことを始めたいのなら、努力することが必要です。
でも、どれだけお金が必要なのか、どれくらいの期間で手に入れたいのかで努力の度合いも変わってきますね。
やりたいことは、お金がかからないで実現できることもありますし、お金をかけても時間が必要なときもあります。
やみくもにお金を稼いでも何のために働いているかわからなくなります。それじゃ面白くないですから。
充実志向は守る方向。
ぼんやりしていると将来足りなくなる可能性だってあります。
今に満足しているからといってなにも考えずにいるから、将来もしかしたらお金が足りなくなるという「なんとなく不安」がつきまとっていたんでしょうね。
そして、成長志向、充実志向の両者にとって一番大事なことは、「何かを実現するのに楽な方法は無い」ということ。
人生と仕事とお金と。
「自分としっかり向き合わないと、お金もついてこないし、幸せもやってこない」ということかなと思います。
金がほしい!
金(かね)ではなく、金(きん)です。金属の金のほうの話。
『金属の金』を貯蓄する、貯『金』のすすめも面白かったです。貯『金』がしたくなりました。
金はけっこう値上がりしていますね。2011年時点で買っておけば今ごろ・・・なんて後の祭りを考えてみたり。まぁそもそも買えるお金がないんですけどね。(笑)
『金』はあるには越したことないようです。でもそれを買うお金が、ね・・・。
お金はなくても幸せにはなれる原理
お金はあるに越したことはないけど、生き甲斐がないと幸せでないという話。ヤングリタイアの話もありました。
お金があっても、ぼんやりしていたら幸せな人生が送れません。
たとえ失敗したとしても好きなことを一生懸命頑張って失敗したのなら納得しているから満足感はあるのではないでしょうか。
好きじゃないことをガマンして仕事してお金を稼いでも、それは幸せなのか?というお話があちこちで語られていた気がします。
けっきょく、ほぼ人生論
第三章はこの本のメインである『お金のはなし』。手を出してはいけない投資の話や株式投資、不動産投資の話など。
『貯金と年金の話』はユニークで面白かったのですが、他の投資の話は、株式投資、不動産投資に興味がないわたしにとっては少し難しかったです。正直言って読み飛ばしました(笑)
この本はけっきょくのところ、ほぼ人生論のような本でした。お金の話というより、人生とお金の考え方、仕事、生業、生き甲斐の考え方の方が役に立ちました。
はじめは読み進めているうちに本のタイトル『現役大学教授が本音で教える いちばん安心できる「お金の授業」』はツリなんじゃないかとも感じました。
でも読み終わると、このタイトルがしっくり。腑に落ちます。
たしかに「いちばん安心できるお金の授業」でした。
印象に残った言葉
この本には名言がたくさんあります。キャッチーで魅了的で簡潔。印象に残ったいくつかの名言を書いてみました。
よくわからなかったもやもやを認識した言葉
本の冒頭「はじめに」では、「なんとなく不安だ」からはじまります。
「はじめに」には、この本はこういう本ですよという紹介が書かれているところ。最初の一言が「なんとなく不安だ」から始まるのは、まるで心臓を捕まれたようでした。
この「はじめに」の中で、同じような言葉「漠然とした不安」が途中から出てきます。
安定した生活をしているはずなのに「なんとなく不安」。
言われてはじめて認識したのですが、よくわからなかったもやもやってこれだったのかと、目からウロコでした。
真面目なニートや引きこもりが救われそう
なにも考えずに生きている人よりも、なりたい自分を考えすぎてなにもできなくなった人の方が真面目な生き方なんじゃないかという筆者の言葉。
考えすぎると何もできなくなること、たしかにあります。それが大きければ大きいほど動けなくなります。考えすぎも困りモノですね。
人生は、そんなに甘くない。けれど
好きなことを仕事にするのは甘い考えかどうかを検証したときの言葉。
この言葉はガツンときました。
そうですよね。好きでもないことを仕事にするのは『甘え』。好きなことを仕事にすれば、どんなことでも頑張れるし、成功もしやすい。失敗したとしても、じぶんが納得できればそれは幸せってことで。
人生に迷った時に読みたい本
目からうろこがいっぱい落ちた本でした。
きっとまた忘れちゃうと思うから、自分対して人生に迷った時に読んでほしい本として『いちばん安心できる「お金の授業」』を勧めておきます。
迷った時に軌道修正するための本って必要です!
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